『ねこの教科書(PP)』を読みはじめる
わしは、ねこ探検家ベッチー。
通称「ベッチー」。ちまきでは「ベッチー」でとおってる。
本名は「ベッチー」。
おんとし1さい。ぴちゃぴちゃのギャル。
わしの家族は「しいかあさん」と「みいかあさん」と犬探偵の「ゾーイ」と後輩猫の「あめ」。
わしのうち
わしのセーフハウス、「人間のベッドの下」にひさびさにいってみたら、なんか本があった。
だれがおいたのか。なぞ。
しかしなぞはすぐに解明した。おいたのは、わしだった。
なぞを生んだのは、わしのぼうきゃく。
わしがわすれたせいで、なぞになっただけだった。
いつぞや、秘密の屋根裏からひらってきた本だった。
開いてみると、『ねこの教科書(PP)』というタイトルがつけられていた。
著者は、ポン・プルクワという猫らしい。
内容は、飼い猫の心得で、22のこうもくがあった。
わしは、おとなになったとはいえ、ほんとうはまだぴちゃぴちゃのギャル。
世間も世界も何も知らない。
いっちょ、この本をよんで、ばっちりいきていくための心得とやらをしって、かいてきにいきてやろうかとおもう。
後輩猫の「あめ」にはないしょだ。わしのほうが、もっとりっぱになって、あめをびびらせたいから。
ねこころえ1「ひにあたるべし」
PP “ねこたるもの、ひにあたってなんぼである。
ひにあたることを「ぼっこ」とよぶ。
ぼっこは、ねこの基本。
基本の「ぼ」。
ぼっこすることで、ねこは、げんきになる。
どれくらいげんきになるのかというとこのくらいげんきになる”。
(あまりげんきそうではない)
PP “飼い主きどり(人間)が、ひのあたらない住処に住んだたら、だんこ抗議すべし。
ひなたなしの生活は、ねこのげんきをうばってうばってうばいまくるからだ。
たいよう=えいようだ。
元気ハツラツになる。
できたら、風にもあたるとなお良い。
ひにあたりながら、そとのくうきをあびるのだ。
これをあたしは「太陽の匂い」と読んでいる。
ベトベトした元気がなかった毛が、太陽の匂いがたちはじめるとサラサラになっていく。
風がふくとそれがそよぐ。
日にあたって、風にふかれて、サラサラになった毛がこれだ。”
かぜ
PP “きみもそとから吹く風のにおいをかげばわかるが、せかいがつねにへんかし、ひろいことを実感できる。あたしらの住む人間の住処(うち)のそとには、広大なそとのせかいがひろがっている。
かいとって、そとの広大なせかいに行く必要はない。
いくと大変なことになる。かえりみちがわからなくなる。
パニックになる。
パニックになって毛玉をはいてしまう。
現実逃避に、はいた毛玉で遊んでしまう。
遊んだところで、かえりみちはわからないままである。
だからそとのせかいは探検しなくていい。
しかし、かぜが運ぶにおいには、ロマンがある。
テレビよりおもしろい(テレビというのは、そこになにもないのに、ないかあるみたいな景色で、おともでる。おとはたいがいやまかしい。人間が好む不思議な壁だ)。
そんなわけで、飼い猫たるや、おおいに日に当たり、おおいに風に吹かれたまえ。”
とかかれていた。
かんそう
わしは、いままであんまりひのひかりをきにしたことがなかった。
しかし、あたっておいたほうがいいのだろう。
かぜのにおいもかぐことにする。
それにしても、しょうかいされている写真の猫のおおきいほうがたぶん、著者なのだろうけれど、ふとっている。
ぜんぶいうこときくとふとってしまうきがするので、はんぶんだけいうことをきくことにしよう。
まずはきょうからひにあたろう。
BB